○あきる野市生物多様性保全条例

平成29年9月27日

条例第15号

(目的)

第1条 この条例は、あきる野市環境基本条例(平成16年あきる野市条例第1号)第3条に規定する基本理念にのっとり、生物多様性の保全に関し必要な事項を定めることにより、市内に生息し、又は生育する希少な生物を保護し、これを将来の世代に継承していくことを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 生物多様性 様々な生態系が存在すること並びに生物の種間及び種内に様々な差異が存在することをいう。

(2) 希少種 市内に生息し、又は生育する野生動植物の種(亜種又は変種がある種にあっては、その亜種又は変種とする。以下同じ。)のうち、次のからまでのいずれかに該当するものをいう。

 種の存続に支障を来す程度にその種の個体の数が著しく少ないこと。

 その種の個体の数が著しく減少しつつあること。

 その種の個体の主要な生息地又は生育地(以下「生息地等」という。)が消滅しつつあること。

 その種の個体の生息又は生育(以下「生息等」という。)の環境が著しく悪化しつつあること。

 からまでに掲げるもののほか、その種の存続に支障を来す事情があること。

(3) 市民 市内に在住、在勤又は在学している者をいう。

(市の責務)

第3条 市は、生物多様性の保全に努めるとともに、希少種の保護に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、実施しなければならない。

2 市は、野生動植物の種が置かれている状況の把握に努めなければならない。

3 市は、広報活動等を通じて、生物多様性の保全及び希少種の保護の必要性に関し、市民、旅行者及び滞在者(以下「市民等」という。)並びに事業者の理解を深めるとともに、その意識の高揚に努めなければならない。

(市民等の責務)

第4条 市民等は、希少種の保護が生物多様性の保全に欠くことのできないものであることを認識し、希少種の生息等に支障を及ぼさないよう配慮するとともに、市が実施する希少種の保護に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、生物多様性に配慮した事業活動を行い、その事業活動によって生じる希少種の生息等の環境の悪化を防止するための措置を講じるとともに、市が実施する希少種の保護に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(土地の開発等における配慮)

第6条 市、市民及び事業者は、土地の開発及び整備を行うに当たっては、あらかじめその土地を含む周辺の地域における希少種の生息等の状況を把握し、希少種の保護に十分配慮しなければならない。

(財産権の尊重等)

第7条 この条例の適用に当たっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重し、市民の生活の安定及び福祉の維持向上に配慮しなければならない。

(指定種の指定)

第8条 市長は、次に掲げるもの以外の希少種のうち、特に保護する必要があると認める種をあきる野市希少野生動植物種(以下「指定種」という。)として指定することができる。

(1) 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成4年法律第75号。以下「法」という。)第4条第2項に規定する希少野生動植物種

(2) 東京における自然の保護と回復に関する条例(平成12年東京都条例第216号。以下「都条例」という。)第39条第1項の規定により指定された東京都希少野生動植物種

2 市長は、前項の規定による指定(以下この条において「指定」という。)をしようとするときは、あらかじめあきる野市環境審議会の意見を聴かなければならない。

3 市長は、指定をしようとするときは、次に掲げる事項を告示しなければならない。

(1) 指定をしようとする種

(2) 指定をしようとする理由

4 前項の規定による告示があったときは、利害関係者は、当該告示があった日から起算して14日を経過する日までに、同項各号の内容について、市長に意見書を提出することができる。

5 市長は、前項の意見書の提出があった場合において、指定に関し広く意見を聴く必要があると認めるときは、公聴会を開催するものとする。

6 市長は、指定をするときは、次に掲げる事項を告示しなければならない。

(1) 指定をする種

(2) 指定をする理由

7 指定は、前項の規定による告示によってその効力を生ずる。

8 市長は、指定種の生息等の状況の変化その他の事情により指定の必要がなくなったと認めるときは、指定を解除しなければならない。

9 第2項第6項及び第7項の規定は、前項の規定による指定の解除について準用する。

10 指定種が第1項各号のいずれかに該当することとなった場合は、当該該当することとなった時に当該指定種の指定が解除されたものとみなす。この場合において、市長は、次に掲げる事項を速やかに告示しなければならない。

(1) 指定が解除された種

(2) 指定が解除された理由

(3) 指定解除年月日

(捕獲等の禁止)

第9条 指定種の生きている個体(卵及び種子を含む。以下同じ。)は、捕獲、採取、殺傷又は損傷(以下「捕獲等」という。)をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。

(1) 第10条第1項の許可を受けてその許可に係る捕獲等をする場合

(2) 第13条第1項の規定により締結した協定で定めるところにより行う保護としての捕獲等をする場合

(3) 第14条第3項第4号の保護計画で定めるところにより捕獲等をする場合

(4) 人の生命又は身体の保護のために必要であることその他の規則で定めるやむを得ない事由がある場合

2 前項第4号の規定に該当して捕獲等をした者は、当該捕獲等をした日から起算して1月以内に、規則で定めるところにより市長に届け出なければならない。

(捕獲等の許可)

第10条 学術研究又は繁殖の目的その他の規則で定める目的で指定種の生きている個体の捕獲等をしようとする者は、あらかじめ、規則で定めるところにより、市長の許可を受けなければならない。

2 市長は、次の各号のいずれかに該当するときは、前項の許可をしてはならない。

(1) 捕獲等の目的が前項に規定する目的に適合しない場合

(2) 捕獲等によって指定種の保護に支障を及ぼすおそれがある場合

(3) 捕獲等をする者が適切な飼養栽培施設を有しないことその他の理由により捕獲等に係る個体を適切に取り扱うことができないと認められる場合

3 市長は、第1項の許可に当たっては、指定種の保護のために必要な限度において、条件を付することができる。

(譲渡し等の禁止)

第11条 指定種の生きている個体は、譲渡し若しくは譲受け又は引渡し若しくは引取り(以下「譲渡し等」という。)をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。

(1) 第12条第1項の許可を受けてその許可に係る譲渡し等をする場合

(2) 第13条第1項の規定により締結した協定で定めるところにより行う保護としての譲渡し等をする場合

(3) 第14条第3項第4号の保護計画で定めるところにより譲渡し等をする場合

(譲渡し等の許可)

第12条 学術研究又は繁殖の目的その他の規則で定める目的で指定種の生きている個体の譲渡し等をしようとする者は、あらかじめ、規則で定めるところにより、市長の許可を受けなければならない。

2 市長は、次の各号のいずれかに該当するときは、前項の許可をしてはならない。

(1) 譲渡し等の目的が前項に規定する目的に適合しない場合

(2) 譲受人又は引取人が適切な飼養栽培施設を有しないことその他の理由により譲受け又は引取りに係る個体を適切に取り扱うことができないと認められる場合

3 市長は、第1項の許可に当たっては、指定種の保護のために必要な限度において、条件を付することができる。

(生息地等保全協定の締結等)

第13条 市長は、希少種の保護のため必要があると認めるときは、その種の個体の生息地等及びこれらと一体的にその保全を図る必要がある区域の土地の所有者その他の規則で定める関係者(以下「土地の関係者」という。)と当該区域の土地の保全に関する協定(以下「生息地等保全協定」という。)を締結することができる。

2 生息地等保全協定は、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 保護の対象となる希少種及びその保護の方法

(2) 保全の対象となる区域及びその土地の保全の方法

(3) 市が行う当該希少種の保護及び当該土地の保全に係る支援に関する事項

(4) 前3号に掲げるもののほか、市長が土地の関係者と協議の上、必要と認める事項

3 生息地等保全協定を締結した土地の関係者は、生息地等保全協定で定める事項を遵守しなければならない。

4 市長は、当該土地の関係者に対し、必要な助言、指導又は情報提供をするものとする。

5 市長は、希少種の保護のため必要があると認めるときは、生息地等保全協定を締結した区域において、希少種の保護に支障を及ぼすおそれのある行為をする者に対し、その行為の実施方法に関し必要な助言又は指導をすることができる。

(保護区域の指定)

第14条 市長は、次に掲げるもの以外の区域のうち、指定種の個体の生息地等及びこれらと一体的にその保護を図る必要がある区域であって、その個体の分布状況及び生態その他その個体の生息等の状況を勘案してその指定種の保護のため重要と認める区域をあきる野市希少野生動植物種保護区域(以下「保護区域」という。)として指定することができる。

(1) 法第36条第1項の規定により指定された生息地等保護区

(2) 自然環境保全法(昭和47年法律第85号)第14条第1項の規定により指定された原生自然環境保全地域

(3) 自然環境保全法第22条第1項の規定により指定された自然環境保全地域

(4) 自然公園法(昭和32年法律第161号)第2条第1号に規定する自然公園の区域

(5) 都条例第17条第1項の規定により指定された保全地域

(6) 都条例第43条第1項の規定により指定された東京都希少野生動植物保護区

2 市長は、前項の規定による指定(以下この条において「指定」という。)をしようとするときは、あらかじめあきる野市環境審議会の意見を聴かなければならない。

3 市長は、指定をしようとするときは、当該指定をしようとする保護区域の名称及び位置並びに縦覧期間及び縦覧場所を告示し、次に掲げる事項を当該告示した日から起算して14日を経過する日までの間、公衆の縦覧に供さなければならない。

(1) 指定をしようとする保護区域の名称

(2) 当該保護区域に係る指定種

(3) 当該保護区域の指定をしようとする区域

(4) 当該保護区域に係る指定種の保護計画

(5) 前各号に掲げるもののほか、市長が特に必要と認める事項

4 前項の規定による告示があったときは、指定をしようとする区域の住民及び利害関係者は、同項に規定する期間が経過する日までの間に、同項各号の内容について、市長に意見書を提出することができる。

5 市長は、前項の意見書の提出があった場合において、指定に関し広く意見を聴く必要があると認めるときは、公聴会を開催するものとする。

6 市長は、指定をするときは、次に掲げる事項を告示しなければならない。

(1) 指定をする保護区域の名称

(2) 当該保護区域に係る指定種

(3) 当該保護区域の指定をする区域

(4) 当該保護区域に係る指定種の保護計画

(5) 前各号に掲げるもののほか、市長が特に必要と認める事項

7 指定は、前項の規定による告示によってその効力を生じる。

8 市長は、保護区域に係る指定種の個体の生息等の状況の変化その他の事情により指定の必要がなくなったと認めるとき又は指定を継続することが適当でないと認めるときは、指定を解除しなければならない。

9 第2項第6項及び第7項の規定は、前項の規定による指定の解除について準用する。この場合において、第6項第4号中「当該保護区域に係る指定種の保護計画」とあるのは、「当該保護区域の指定を解除する理由」と読み替えるものとする。

10 保護区域が第1項各号のいずれかに該当することとなった場合は、当該該当することとなった時に当該保護区域の指定が解除されたものとみなす。この場合において、市長は、次に掲げる事項を速やかに告示しなければならない。

(1) 指定が解除された区域

(2) 指定が解除された理由

(3) 指定解除年月日

(保護区域における行為の制限)

第15条 保護区域においては、次に掲げる行為は、規則で定めるところにより、あらかじめ市長の許可を受けなければ、してはならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行う行為は、この限りでない。

(1) 建築物その他の工作物を新築し、改築し、又は増築すること。

(2) 宅地を造成し、土地を開墾し、その他土地(水底を含む。)の形質を変更すること。

(3) 鉱物を採掘し、又は土石を採取すること。

(4) 水面を埋め立て、又は干拓すること。

(5) 木竹を伐採すること。

2 市長は、前項各号に掲げる行為が保護区域の自然環境の保護に支障を及ぼすと認めるときは、同項の許可をしてはならない。

3 市長は、第1項の許可に当たっては、保護区域の自然環境の保護のために必要な限度において、条件を付することができる。

4 第1項ただし書の規定に該当して同項各号に掲げる行為をした者は、当該行為をした日から起算して1月以内に、規則で定めるところにより市長に届け出なければならない。

5 国又は地方公共団体が行う行為については、第1項の許可を受けることを要しない。この場合において、当該国又は地方公共団体は、当該行為を行おうとするときは、あらかじめ市長に協議しなければならない。

6 国又は地方公共団体は、第4項の規定による届出を要する行為を行ったときは、同項の規定の例により、市長にその旨を通知しなければならない。

7 次に掲げる行為については、第1項の規定は、適用しない。

(1) 第14条第1項の規定による指定をした時に既に着手している行為

(2) 第14条第3項第4号の保護計画の実施に係る行為

(3) 通常の管理行為又は軽易な行為のうち、保護区域の自然環境の保護に支障を及ぼすおそれのない行為

(指導及び助言等)

第16条 市長は、指定種の保護のため必要があると認めるときは、前条第1項の許可を受けた者に対し、当該許可を受けた行為による指定種の生息等への影響をできる限り回避し、又は低減するよう指導及び助言をするものとする。

2 市長は、当該許可を受けた者が当該許可を受けた行為によって指定種の生息等に必要な自然環境に支障を及ぼした場合において、相当の期間を定めて、原状回復を命じ、又は原状回復が著しく困難である場合に、これに代わるべき措置をとるべき旨を命ずることができる。

(保護区域の土地に係る固定資産税等の減免)

第17条 保護区域として指定した土地に係る固定資産税及び都市計画税の減免については、あきる野市税賦課徴収条例(平成7年あきる野市条例第36号)の定めるところによる。

(保護行為に対する支援)

第18条 市長は、生息地等保全協定を締結した区域又は保護区域において、希少種又は指定種の保護のため必要な行為をする者に対し、必要な支援をすることができる。

(外来種等の放逐の禁止等)

第19条 何人も、国内及び国外を問わず人為的に移動した動植物で、市内における地域の在来種を圧迫し、生態系に著しく悪影響を及ぼすおそれのある種の個体(以下「外来種等」という。)を放ち、又は植栽し、若しくはその種子をまいてはならない。

2 何人も、外来種等の拡大を防ぐよう努めなければならない。

3 市長は、外来種等による生物多様性への影響を防止する対策を実施するよう努めなければならない。

(許可の取消し)

第20条 市長は、第10条第1項第12条第1項又は第15条第1項の許可を受けた者が偽りその他不正な手段により当該許可を受けたときは、当該許可を取り消すことができる。

(中止命令等)

第21条 市長は、次に掲げる者に対して、違反行為の中止を命じ、又は相当の期間を定めて、原状回復を命じ、若しくは原状回復が著しく困難である場合に、これに代わるべき措置をとるべき旨を命ずることができる。

(1) 第15条第1項の規定に違反した者

(2) 第10条第3項第12条第3項又は第15条第3項の規定により許可に付せられた条件に違反した者

(報告、検査等)

第22条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、第10条第1項第12条第1項又は第15条第1項の許可を受けた者に対し、当該許可を受けた捕獲等若しくは譲渡し等又は行為(以下これらを「行為等」という。)の実施状況その他必要な事項について報告を求めることができる。

2 市長は、この条例の施行に必要な限度において、その職員に、前項に規定する者が行為等を行う土地若しくは建物内に立ち入り、当該行為等の実施状況を検査させ、関係者に質問させ、又は当該行為等の自然環境に及ぼす影響を調査させることができる。

3 前項の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

4 第2項の規定による立入検査及び立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(公表)

第23条 市長は、第21条の規定による中止命令等に違反した者があるときは、当該違反した者の氏名及び住所(法人にあっては、その名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)並びに違反の事実を公表することができる。

2 市長は、前項の規定による公表をしようとするときは、当該違反した者に対して、あらかじめ意見を述べる機会を与えなければならない。

(委任)

第24条 この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。

(罰則)

第25条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

(1) 第9条第1項又は第11条の規定に違反した者

(2) 第21条の規定による命令に違反した者

第26条 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

(1) 第10条第3項第12条第3項又は第15条第3項の規定により付せられた条件に違反した者

(2) 第15条第1項の規定に違反した者

第27条 第22条第1項に規定する報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同条第2項の規定による立入検査若しくは立入調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者は、20万円以下の罰金に処する。

(両罰規定)

第28条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前3条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して、各本条の罰金刑を科する。

この条例は、平成30年1月1日から施行する。

あきる野市生物多様性保全条例

平成29年9月27日 条例第15号

(平成30年1月1日施行)

体系情報
第8編 生/第4章 環境保全
沿革情報
平成29年9月27日 条例第15号