○あきる野市議会基本条例
平成27年6月23日
条例第29号
目次
前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 議会及び議員の活動原則(第3条―第5条)
第3章 市民と議会との関係(第6条―第9条)
第4章 議会と行政との関係(第10条―第12条)
第5章 議会における審議及び議会の機能強化(第13条―第20条)
第6章 議員間の自由討議(第21条―第23条)
第7章 委員会の活動(第24条・第25条)
第8章 政務活動費(第26条)
第9章 議会及び議会事務局の体制(第27条―第30条)
第10章 議員の政治倫理、議員定数及び議員報酬(第31条―第33条)
第11章 条例の位置付け及び検証(第34条・第35条)
附則
わたしたちのまちあきる野市は、東京都の多摩西部に位置し、山紫水明で多彩な文化や郷土芸能が息づく田園都市として発展してきました。歴史的には自由民権運動が花開いた明治期に「五日市憲法草案」が編まれた地であり、民主的な自治の精神や伝統を引き継ぎながら発展を遂げてきました。
あきる野市政は、市民により選ばれた議員で構成する議事機関である市議会と、同じく市民により選ばれた執行機関である市長との二元代表制で運営され、市議会は多様な市民の声を反映し、あきる野市にとって最良の意思を決定することで、市民福祉の向上や市勢のさらなる発展を目指していく使命が課せられています。
ここに、あきる野市議会は、先人が築いた歴史と伝統を受け継ぎ、これに安住することなく不断の議会改革に努め、日本国憲法に定める地方自治の本旨の実現を目指すとともに、市民の負託に応えていくことを決意し、市議会の最高規範となる「あきる野市議会基本条例」を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、二元代表制の下、合議制の機関である議会の役割を明らかにするとともに、議会及び議員の活動原則等の議会に関する基本的事項を定めることにより、地方自治の本旨に基づく市民の負託に的確に応え、もって市民福祉の向上と公正で民主的な市政の発展に寄与することを目的とします。
(議会の役割)
第2条 議会は、市民の代表から構成される市の団体意思の決定機関です。
2 議会は、市の議事機関であり、条例の制定及び改廃、予算の議決、決算の認定並びに行政活動の監視をする権限を有します。
第2章 議会及び議員の活動原則
(議会の活動原則)
第3条 議会は、次に掲げる原則に基づき活動します。
(1) 公正性及び透明性を確保するとともに、市民に開かれた議会を目指します。
(2) 議決責任を深く認識し、市民に対して積極的な情報公開に取り組むとともに、説明責任を果たします。
(3) 自由闊達な討議を行い、市政の課題に関する論点及び争点を明らかにするよう努めます。
(4) 把握した市民の多様な意見を基に政策提言、政策立案等の強化に努めます。
(5) 市民本位の立場から、適正な市政運営が行われているかを監視し、評価します。
(議員の活動原則)
第4条 議員は、次に掲げる原則に基づき活動します。
(1) 議会が言論の場であること、及び合議制の機関であることを認識し、議員間の自由な討議を重んじます。
(2) 市政の課題全般について市民の意見を的確に把握するとともに、自らの資質の向上に努めます。
(3) 議会の構成員として、一部の団体及び地域の代表にとどまらず、市民全体の奉仕者及び代表者としてふさわしい活動をし、市民福祉の向上を目指します。
(会派)
第5条 議員は、議会活動を行うに当たり、会派を結成することができます。
2 会派は、政策を中心とした同一の理念を共有する議員で構成します。
3 議長は、必要があると認めるときは、会派の代表者の会議を開催することができます。
4 議員は、1人の場合においても会派を結成することができます。
第3章 市民と議会との関係
(市民と議会との関係)
第6条 議会は、会議を原則公開とします。
2 議会は、本会議並びに常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会」といいます。)において、公聴会制度及び参考人制度を十分に活用して、市民等の意見等を聴き、議会の政策形成に反映するよう努めます。
3 議会は、市政の課題全般に柔軟に対処するため、市民との意見交換の場を設けることができます。
(議会広報の充実)
第7条 議会は、市民が議会活動に関する正確で分かりやすい情報を得ることができるよう、広報紙、ウェブサイト等を充実させます。
(広報広聴委員会)
第8条 議会は、広報広聴機能の充実のため、議員で構成する広報広聴委員会を設置します。
2 広報広聴委員会に関し必要な事項は、別に定めます。
(パブリックコメント)
第9条 議会は、議会が基本的な政策、施策、計画等(以下「政策等」といいます。)を策定するに当たり、パブリックコメントを行うことができます。
第4章 議会と行政との関係
(議会と市長等との関係)
第10条 議会審議における議員と市長その他の執行機関及びその補助職員(以下「市長等」といいます。)との関係は、次に掲げるとおりとし、議会は、市長等との緊張関係の保持に努めます。
(1) 議会は、市長等との立場及び権能の違いを踏まえ、議会活動を行います。
(2) 議員は、市長等に対する質疑及び質問について、広く市政の課題に関する論点及び問題点を明らかにするため、一問一答の方式で行います。
(3) 本会議又は委員会に出席した市長等は、議員から質疑及び質問を受けたときは、その論点を整理するため、答弁に必要な範囲内で、議長又は委員長の許可を得て当該議員に対し反問することができます。
(文書による質問)
第11条 議会は、市長等に対し、文書により質問を行い、文書による回答を求めることができます。
2 文書による質問の手続に関し必要な事項は、別に定めます。
(市長等による政策形成過程の説明)
第12条 議会は、市長等が提案する重要な政策等について、議会審議において論点を整理し、政策等の水準の一層の向上を図るため、次に掲げる事項の説明を行うよう求めることができます。
(1) 当該政策等を必要とする背景
(2) 当該政策等の提案に至った経緯
(3) 基本構想及び基本計画との整合性
(4) 当該政策等の実施に要する経費及びその財源措置
(5) 将来にわたる経費の計算
(6) 市民参加の実施の有無及びその内容
(7) 他の自治体の類似する政策等との比較又は評価
2 議会は、提案される予算案及び決算の審議に当たっては、分かりやすい政策等の説明資料を作成するよう求めます。
第5章 議会における審議及び議会の機能強化
(災害時等の議会及び議員の対応)
第13条 議会及び議員は、災害等による不測の事態が生じたときは、市民の生命及び財産を保護するため、市長等と連携し、市に災害対策本部等が設置されたときには、これに協力します。
2 議会及び議員は、災害の発生等に備えるため、平常時から地域の情報を把握するとともに市長等と情報を共有するように努めます。
(令4条例24・一部改正)
(議決事件)
第14条 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」といいます。)第96条第2項の規定に基づき、法に定めるもののほか、議会と市長等がともに市民に対する責任を担うため、市政にとって重要な政策等について、議会の議決すべき事件として定めることができます。
2 前項の規定に基づく議会の議決すべき事件は、次に掲げるものとします。
(1) 基本構想及び基本計画
(2) その他別に条例で定めるもの
(行政計画の報告及び調査)
第15条 議会は、市長等が各行政分野に係る基本的な計画(以下「行政計画」といいます。)を策定、変更又は廃止をしようとするときは、所管する委員会等へ報告し、意見を求めるものとします。
2 議会は、行政計画について、所管する委員会等で積極的に所管事項の調査に努めるものとします。
(議決責任)
第16条 議会は、議決責任を深く認識し、議案等の議決又は意思決定若しくは政策決定を行ったときは、市民に対して説明する責務を有します。
(議会の機能強化)
第17条 議会は、市政の執行の監視及び評価並びに政策等の立案及び提言に関する機能の強化を図ります。
2 議会は、学識経験者等の専門的知見、参考人制度等を積極的に活用するよう努めるものとします。
(調査機関等の設置)
第18条 議会は、市政の課題に関する調査のため必要があると認めるときは、学識経験者等で構成する調査機関又は議員で構成する検討会等を設置することができます。
(定例会の回数及び会期)
第19条 議会は、主導的かつ機能的に活動するため定例会の回数を年1回とし、その会期は、通年とします。
2 議会の会期を通年とすることに関し必要な事項は、別に定めます。
(議長及び副議長)
第20条 議長は、議会を代表し、議会の秩序保持及び議会事務を統理し、合意形成に向けた調整及び政策等の調整を行い、公平公正な議会運営に努めます。
2 議長及び副議長は、議員による選挙で選びます。
3 議長及び副議長の選挙においては、所信表明する機会を設けることができます。
4 副議長は、議長を補佐し、議長に事故があるとき、又は議長が欠けたときは、議長の職務を行います。
第6章 議員間の自由討議
(議員間の自由討議)
第21条 議員は、議会の機能を発揮するため、積極的に議員間の自由討議に努め、議論を尽くします。
(政策等の立案及び提言)
第22条 議会は、議員間の自由討議を進め、条例の制定及び改廃、議案の修正、決議等を通じて市長等に対し、政策等の立案及び提言を行います。
(政策研究会)
第23条 議会は、市政に関する重要な政策、課題等について、議員の共通認識を深め、もって議会の資質向上を図るため、政策研究会を設置することができます。
第7章 委員会の活動
(委員会の運営)
第24条 委員会は、委員会の専門性及び特性を生かした適切な運営に努めます。
2 委員会は、所管に係る市政の課題について、議案等の審査、所管事務等の調査及び政策等の提言を行うよう努めます。
(議会運営委員会)
第25条 議会運営についての協議は、主として議会運営委員会において行います。
第8章 政務活動費
(政務活動費)
第26条 会派は、政策等の立案、調査研究等に資するため、あきる野市議会政務活動費の交付に関する条例(平成13年あきる野市条例第1号)に定めるところにより、政務活動費の交付を受けることができます。
2 会派は、議会の審議能力を強化し、会派に所属する議員の調査研究活動の充実を図るため、議会が作成するあきる野市議会政務活動費マニュアルに定めるところにより、政務活動費を厳正かつ適切に活用します。
3 会派は、政務活動費の使途を公開すること等により、その使途の透明性を確保します。
第9章 議会及び議会事務局の体制
(議員研修の充実)
第27条 議会は、議員の資質の向上を図るため、議員研修の充実に努めます。
2 議会は、学識経験者、市民等を講師とした議員研修会を積極的に開催するものとします。
(予算の確保)
第28条 議会は、二元代表制の趣旨を踏まえ、議事機関としての機能の充実を図るため、必要な予算の確保に努めるものとします。
(議会事務局)
第29条 議会は、政策等の提案機能、立法機能、監視機能及び調査機能を補助させるため、議会事務局の機能の強化に努めるものとします。
(議会図書室)
第30条 議会は、議員の調査研究に資するため、議会図書室の充実に努めるものとします。
第10章 議員の政治倫理、議員定数及び議員報酬
(議員の政治倫理)
第31条 議員は、市民全体の代表者として倫理性を常に自覚し、市民の疑惑を招くことのないよう行動します。
(議員定数)
第32条 議員定数は、あきる野市議会議員定数条例(平成14年あきる野市条例第34号)に定めるところによります。
2 議会は、適正な議員定数について、必要に応じて調査検討を行います。
(議員報酬)
第33条 議員報酬は、あきる野市議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例(平成7年あきる野市条例第22号)に定めるところによります。
2 議会は、適正な議員報酬について、必要に応じて調査検討を行います。
3 あきる野市議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例の改正の提案に当たっては、あきる野市特別職報酬等審議会等の多様な意見を参考にするよう努めるものとします。
第11章 条例の位置付け及び検証
(他の条例等との関係)
第34条 議会は、この条例が議会の基本的事項を定める条例であることを自覚し、議会に関する条例等を制定し、又は改廃する場合においては、この条例との整合を図ります。
(条例の検証)
第35条 議会は、この条例の目的が達成されているかどうかを議会運営委員会において常に検証し、必要に応じて適切な措置を講じます。
附則
この条例は、平成27年7月1日から施行する。ただし、第19条の規定は、平成28年1月1日から施行する。
附則(令和4年条例第24号)
この条例は、公布の日から施行する。